はじめに

角層診断は、肌の状態を評価する手段の一つです。当社開発の角層診断ソフトウエアであるコルネオサイトメトリーは、角層診断の客観的な評価を支援するツールとして、2014年に発売を開始しました。
これまでに大学をはじめとし、たくさんの研究機関に導入いただきご活用いただいております。
この度、新潟大学、株式会社CIEL、新潟エスラボ株式会社の共同研究により細胞面積計測の作業効率をあげ、作業者の負担がより軽減されるように改良したコルネオサイトメトリー2を開発いたしました。

リニューアルのポイント

コルネオサイトメトリー2では、細胞面積の測定に、新潟大学の画像切抜きと呼ばれる画像処理技術を導入しました。これにより、ユーザーが計測対象となる細胞領域に簡単にしるし付け(タッチ教示)をするだけで、細胞領域が自動抽出され、細胞面積が算出されます。 これまでのように細胞一つひとつの輪郭をマウス操作により指定する必要はありません。

画像切抜きの技術の角層診断への応用については、第81回SCCJ研究報告討論会において新潟大学との共同研究として研究報告をしました1) 。検討の結果、細胞をクリックで囲む従来の手法と同程度の角層細胞面積の算出精度が達成されること、また大幅な作業時間の短縮が可能であることが確認されました。




計測の流れ

コルネオサイトメトリー2では、角層細胞画像を読込・表示後、各種の計測を行い、データの集計をします。データはCSVファイルで保存されるため、Excel®をもちいた編集が可能です。




BG染色解析

ブリリアントグリーン・ゲンチアナバイオレット(BG)染色をはじめとした、角層細胞の形態観察を目的とした染色画像をもちいて、細胞形態の数値化が可能です。細胞面積、細胞の形の整い方(真円度)、また画像中の総角層細胞面積当たりの多重剥離部分を多重度(%)として算出できます。細胞面積は読込まれたスケールの情報をもとに角層細胞の平均細胞面積(µm2)として算出可能です。計測する角層細胞は、PCのマウス操作で画像上に簡単なしるし付けをすることで抽出され、細胞面積が自動で算出されます。



蛍光画像解析

ターゲット物質に特異的な蛍光物質で標識した細胞画像をもちいて、ターゲット物質の細胞中の存在頻度を全細胞面積当たりの平均蛍光輝度として算出します。
多重剥離が多い角層画像では多重部分から非常に強い蛍光が発せられるため、正確な解析を妨げることがあります2)。コルネオサイトメトリー2では、角層の蛍光画像を、単層の角層領域、多重領域、背景領域の3つの領域に分割し、単層の角層領域の平均蛍光輝度を算出することで、角層試料の多重度に影響を受けずに平均蛍光輝度を算出することができます。

1)奥山隆史ら, 画像切抜き技術を用いた角層細胞面積計測法の開発, 第81回SCCJ研究報告討論会 (2017)
2)T. Mizutani et al., Novel sensitive method on evaluation of carbonylated protein in the stratum corneum., J. Jpn. Cosmet. Sci. Soc. 41(2), 1–5 (2017)  


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